誰かがしみじみと述懐した。
こんなに長くやっていてちっとも巧くならない。いったいゴルフをすることに意味があるんだろうか。
どんなに名を挙げていようとゴルフの神はそんなことは一顧だにしない。
叩きのめし、翻弄し、突き放し、寄る辺のないフェアウェイの荒野に置き去りにする。
頼みにするのは一本のクラブだけ。
ただ一発の銃弾でしとめるディア・ハンターの恍惚と不安さながら。
ゴルフの魔にとりつかれた者にとって、それは道具というよりは己を支える背骨のようなもの。
高潔に、美しく、晴れやかにプレイするための規矩(きく)。
「人にまっすぐ立たされるのではなく、自らまっすぐ立っているのでなくてはならない。」
戦場にありながら思惟(しい)することをやめなかった哲人皇帝マルクス・アウレリウスのことばこそ、ゴルファーの座右の銘だ。